ソラニワには純粋に休暇に来た。
現代ナード文化をよく知り、
息をするように嘘をつき、
煙に巻くような喋り方をする。

彼女の布団はホバー機能・フライト機能・体温調節機能・耐衝撃性能・耐斬突性能・etcetc......を備えており、
まさしく浮遊要塞の名に相応しい性能を誇っている（らしい）。

最近、出歩く姿を見る。

彼女の来歴を知る者はほとんどいない。

このプロフィールにはひとつだけ嘘がある。

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当然、ひとつだけの嘘は、「嘘がひとつだけ」ということである。

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とある世界、とある国の歴戦の騎士である。

一騎当千という名が相応しい、武人であった。

戦により国力を高め続け、ついには世界一の大国になった。

一番の功労者は間違いなく彼女だったが、戦いに次ぐ戦いで彼女の体はほぼ限界だった。

そして、世界を握った国にとって、異常な実力を持つ戦士は、もはやリスクでしかなかった。

表向きは彼女を労うために、支配者は彼女をソラニワに送った。

彼女の布団は呪具である。

勇猛たる戦士を縛り、

反乱等できないようにするための呪いだ。

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しかし、統治者の見込みは甘かった。

この女は、この戦士は。

自堕落になり何もかも忘れるような女ではなかったのだ。

つまるところ……この不当なる左遷は、

彼女を強め、変幻自在の戦士にしてしまう、最悪の人事だった。

幸いにも、彼女に反乱の意思はない。

この『長期休暇』が終わったならば、

その力を存分に国家のために振るうだろう。

望むと望まないとに関わらずだ。

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とはいえ基本的には自堕落な暮らしに落ちたのには変わりなく、

おそらく近隣諸国ともどもこの布団野郎を抑止力として割と平和に過ごすだろう。